「事業継続力強化支援計画」とは
近年、大規模な自然災害が全国各地で頻発しており、静岡県では南海トラフ地震の発生も想定されています。加えて、新型コロナウイルス感染症など自然災害以外のリスクも顕在化しています。こうした自然災害や感染症の拡大が小企業事業者の経営に与える影響はますます高まっており、日本のサプライチェーンにも大きな影響を与える恐れがあります。そのため、事業継続のための対策を平時から進めておくことが不可欠となっています。
この中で、三島商工会議所は三島市と共同で、自然災害や感染症等に備える小規模事業者の取り組みを支援する計画「事業継続力強化支援計画」を策定し、静岡県より県内の商工会議所・商工会で初めてとなる認定を受け、令和2年3月31日から本計画に基づき支援を行っています。
BCP(事業継続計画)とは
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
緊急事態は突然発生します。有効な手を打つことがきでなければ、特に中小企業は、経営基盤が脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます。
緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないためには、平常時からBCPを周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要となります。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、株主にとって企業価値の維持・向上につながるのです。
BCP(事業継続計画)の役割を図で表すと下記のようになります。
このBCPの特徴は、
①優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
②緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
③緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく
④事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
⑤全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておくことにあります。
企業が大地震などの緊急事態に遭遇すると操業率が大きく落ちます。何も備えを行っていない企業では、事業の復旧が大きく遅れて事業の縮小を余儀なくされたり、復旧できずに廃業に追い込まれたりするおそれがあります。一方、BCPを導入している企業は、緊急時でも中核事業を維持・早期復旧することができ、その後、操業率を100%に戻したり、さらには市場の信頼を得て事業が拡大したりすることも期待できます。
効果を図示すると下記のとおりです。
事業継続力強化計画認定制度とは
自然災害等の影響は、個々の事業者の経営はもちろん、わが国のサプライチェーン全体にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。これらを踏まえ小規模事業者の自然災害等への事前の備えや事後のいち早い復旧を支援するため、「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(中小企業強靱化法)」が令和元年7月16日に施行されました。
これに伴い、中小企業が防災・減災に向けて取り組む計画として、事業継続力強化計画を作成し経済産業省がこれを認定する制度が始まりました。
「事業継続力強化計画」は、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために、必要な項目を盛り込んだもので、将来的に行う災害対策などを記載するものです。作成方法や計画書の記入項目がわかりやすくなっており、実用的な計画書になっています。
BCPよりも簡単に計画を策定できるため、中小企業や小規模事業者の方々でも取組みやすく、国の認定を受けると次の図の支援を受けることができます。
事業継続力強化計画の策定手順
策定手順や注意点等は下記の中小企業庁の資料をご覧ください。
BCPと事業継続力強化計画の違い
事業継続のためには復旧対応までを盛りこんだBCPを策定することが望ましいですが、まずは取り組みやすい事業継続力強化計画の策定をお勧めします。
BCP | 事業継続力強化計画 | |
対象リスク | 事業継続を妨げる様々なリスク | 主に自然災害や感染症に特化 |
対象場面 | 復旧対応まで | 初動対応まで |
事業継続力強化支援計画(PDFダウンロード)
三島商工会議所の令和7年4月1日から令和12年3月31日のまで事業継続力強化支援計画を記載しております。
策定を検討されている方は是非、ご覧ください。
事業継続力強化支援計画・評価会議の報告
本事業の中では年1回、外部有識者による評価会議を開催することになっており、その結果をホームページ等で公表することになっています。そこで支援計画に記載されている令和2年度における事業等の実施状況について、令和6年3月18日(月)に、外部の評価委員による評価会議を行いました。
事務局からの説明後、評価委員の評価を受けました。評価委員からは「目標について充分、若しくは概ね達成している」との評価を受けました。
評価会議の内容や資料については、下記からダウンロードできます。