世界経済の成長が減速しつつあります。予想を上回るインフレ。それを抑えるための急激な金利上昇や地政学的緊張の高まりなどが世界経済を景気後退に追いやる危険性をはらんでいます。一方、中国の経済再開に伴い景気のへの好影響も予想されています。私たちは、今後の世界経済の動向と各国の対応に注視していく必要がありそうです。
日本経済は、ウィズコロナの各種政策による景気の持ち直しを期待したいところですが、海外景気の下振れが我が国の景気を下押ししています。これに打ち勝つためには、日本が競争力を強化し続けていくことが必要となります。さらなる経済成長には、三つの変革「民間投資の強力な後押し」「持続的な賃上げの環境整備」「エネルギーの安定供給の確保」を、官民連携で実現していくことが大切です。
また、なんといっても日本社会の中長期的な課題は少子高齢化です。人口減少社会においては、人手不足が恒常化しています。既に、これまでの経済成長を支えて来た年功序列や終身雇用といった日本型雇用慣行は機能しなくなりつつあり、雇用も変革期に来ています。労働力人口が減少する中で、様々な価値観をもつ人材を登用し、収益につなげ、賃金等の処遇を改善していくことが寛容です。経済界全体で進める「パートナーシップ構築宣言」は、大企業と中小企業がお互いに連携し、サプライチェーン全体で利益もコストも適正にシェアし、賃上げにつなげていくためのものです。この運動は、大企業と中小企業の共存共栄を推し進め、わが国経済を停滞から成長へと転換させようとするものです。これは新たな付加価値の創造による「成長」と、公正・適正な取引や賃上げを含む人への投資による「分配」の好循環の実現へとつなげるための試みです。
三島商工会議所は、三つの価値 「経済・社会・環境」 を軸としながら、「つなぐ三島~ALL三島で、未来を創る」を追求し「元気な三島」を創ります。
一つ目の価値 「経済」 は、ワンストップ相談窓口・みしま経営ステーション、通称 「M―ステ」 による企業の自己変革への支援です。M―ステでは、時代の流れに負けない企業を目指す会員の経営支援の充実や地域の賑わいの創出等広範囲の事業に取り組んでおります。「M-ステ」は、行政や関係団体、金融機関、専門家、教育機関等と連携することが特徴であり、強みでもあります。その強みを活かし、元気な事業所を創出します。
二つ目の価値 「社会」 は、地域貢献や従業員の働きがいの向上です。従業員が自分の仕事は地域発展に貢献していると感じることで企業の発展に繋がっていきます。こうした魅力と活気にあふれた企業が増えることで、社会全体がより発展し、進化していくのだと確信しております。会員サービスの 「優良従業員表彰式」 や 「わきみず共済」 等の福利厚生の充実もその一つです。更に子どもたちが会員事業所で “お仕事” 体験をする 「なりわい体験塾」 は、地域を愛する三島人の創出につながっていくと確信しております。
三つ目の価値 「環境」 は、 『三島商工会議所SDGs』の推進です。昨年度は、「SDGs推進委員会」「グリーンインフラ整備推進特別委員会」を立ち上げました。昨今の地球的異常気象による大雨洪水等自然災害の原因は、人口増や経済活動の発展により地球に対し、過大な負荷をかけていることも大きな要因の一つだと考えられています。私たちの経済活動もこの地球上で成り立っており、商工会議所が率先して地球環境保全に貢献していく責務があると感じております。
自ら積極的に改善を図り、我々企業に携わる者として、共に地域住民と意識を共有し、さらなる環境づくりに貢献していきたいと考えます。
日本国内の企業数は5年前に400万社ありましたが、5年間で80万社が消滅しています。新たに起業した会社が40万社。合わせて360万社に減少しました。乱暴な言い方をすれば このまま何もせずにいたら20年後には全企業が入れ替わり、新たな180万社が残ることになります。生き残るためには 待つ姿勢ではなく積極的にチャレンジすること。経営者の情熱と強い意志が必要です。そこに新たなパワーが生まれ企業が再生されます。
その 「自己変革」 の波が連鎖し、再生された企業が増え、やがて地域を活性化させ、「元気な三島」が成し遂げられます。
商工会議所は「企業と地域の応援団」、挑戦する会員企業みなさまに寄り添い、応援し、支援を行います。企業が元気でなければ地域も良くなりません。今こそ一致団結し、われわれ企業経営者は変革に取り組んでいただきたいと思います。激動の時代を乗越えた先には「新しい時代の新しい景色」が待っています。
みなさまと一緒に「新しい景色」を見られることを念じて、私の令和5年度所信表明といたします。
三島商工会議所
会頭 石渡浩二